第 195号 　多摩川クラブ・トピックス　 2009/07/09  25:400発表


頭の上を新幹線？

「＃03上丸子小ガサガサ探検隊ッ！」


  雨の隙間を縫うように、時折日差しが射す多摩川で、川崎市立上丸子小四年総合学習「ガサガサ探検隊」を開催した。今期、上丸子小の多摩川学習では四月の「紙芝居ライブ」からスタート、翌五月に大田区の嶺町小学校五年生との交流学習と回を重ねて今回で三回目。
　ここまで川に入らない授業だったが、三回目は子供たちも楽しみにしているガサガサ探検、待ちに待っての開催となった。

　場所は学区内を流れる多摩川。頭の上には新幹線が走る。電車が通ると隣の声も聞こえないが子供たちはお構いなしだ。よっぽど川に出るのが嬉しいのか、見ている筈もない乗客に手を振りだした。

　子供たちの自然体験の少なさが問題視されている。しかしはじけるような笑顔を見せられると、それが子供自身の問題でないことに気付かされる。底抜けな笑顔に心を洗われる一日となった。



「けんさん～、これ何？」子供が手にしていたのは「マシジミ」。驚いた。こんな所で淡水の二枚貝が再生している。大きく育てば、地域の自信にもなる。子供たちにその大切さを伝え、願いを込めながら砂の中へと戻してあげた。
　それにしても、走り回ったり泳ぎ出したり・・・子供は水遊びが大好きだ。心底楽しそうだったなぁ・・・。





「＃05丸子学習塾」進行の詳細


08:00 指導者集合
    ※観察地の下見と安全確認
    ※学習プログラムの構成

09:15 授業開始
   ※ライフジャケットの点検
    ※学習内容の説明

09:20 魚捕りに挑戦ッ
   ※鉄橋下の川溜まりで「ｶﾞｻｶﾞｻ」


09:50 多摩川探検
   ※川の中を歩いてみようッ
 ※河原の生き物も探してみようッ

10:00 ガサガサ
   ※違う場所での魚捕り


111:20 学習のまとめ
   ※捕れた生き物は？
   ※水槽に、多摩川の環境を作ってみようッ





獲した生物の詳細
○ 天気・曇り時々晴れ / 参加数84名 / 水温24.0℃

採取した生き物

1

マハゼ 　　　(4～6㎝)

33

5

 メダカ　   ( 4～5㎝) 5

2

ウキゴリ      (5～7㎝)

4

6

 テナガエビ    ( 4～11㎝) 16

3

ボラ　  　　　( 3～4㎝)

2

7

 モクズガニ   ( 2～5㎝) 1

4

オイカワ　　 (7㎝)

1

8

 マシジミ　　( 0.5～1㎝ ) 28
計8種    90匹






凄い音。後の鉄橋を走る「東海道線」と「新幹線」。・・・でも、誰も気にしなくなった。





小学校発、地域の未来

  多摩川まで歩いて五分。上丸子小学校は低学年から高学年まで、全学年で多摩川の取り組みがある。低学年の草花観察から地域環境の未来まで、その内容の濃さは流域一かも知れない。
  父母の積極的な参加も多く、学校側の熱意に答える形でその関わり方は成長を続けている。孤立する小学校が問題になる中、上丸子小の取り組みはとても新鮮だ。

  流域中の小学校を「さ迷い(？)」歩くと、学級の雰囲気から地域を感じることがある。信じてもらえないかも知れないが、その差は一目瞭然。公立小学校とは地域の特性がとてもよく現れる場所なのだ。たとえば東京側と川崎側とでは学級の雰囲気がまるで違うし、同じ岸辺でも下流域と中流域とでもずい分変る。

  ちなみに人間関係の希薄な地域の子供は、押し並べて「ハキ」が無い。子供の反応が薄いのだ。さらに教師の消極的な姿勢などなど・・・地域の雰囲気が、学級の中にも様々な症状として表れる。
  最初の頃は学校自体に問題があるのかと思っていたが、そうではない。同じ地域内の小学校には、おおよそ似たような傾向があるからだ。

  したがって、授業をやり難い地域もある・・・。少し前まで、最もやりにくかった場所が・・・実は、この上丸子小がある川崎市「中原区」だった。この町は現在も大きく様変わりを続ける町。昔ながらの街並みが消えて、高層マンションが建ち並ぶ新興の住宅地になった。住民の入れ替わりが、他の地域に比べて激しいのも原因かも知れない。
  どの小学校も、学級の取り組みへの父母参加が押し並べて低く、子供たちの取り組みが空中に浮いている感じを受けることも多い。したがって、この地にある上丸子小の変化は驚くものがある・・・。

  朝6時30分、突然寝室の電話が鳴り響いた。

  「おはようございまスッ！今のところ水量・濁り、共に良好でスッ！」

  ・・・人の迷惑を顧みない人だ。前夜は仕事で遅くなり、さっき寝たばかり。電話の主は、今日多摩川学習「ガサガサ探検隊」をすることになっている四年の担任教師。電話の内容は授業を開始する三時間前の「多摩川の様子報告」だった。
  昨日から雨など降ってない。しかし子供を川へ連れて行くにあたって、早朝の状態は当然の報告事項と思っているらしく、聞けば昨日も担任教師全員で下見を行ったと言うのだから・・・その思い入れは普通ではない。

  予定内容と寸分違わず、待ち待った上丸子小四年の「ガサガサ探検隊」が始まった。場所は感潮域で潮が引きガサガサが干上がっている。鼻っから魚が捕れる環境でないが、この予想外の盛り上がりは何だろう・・・。頭の上を、超高速の新幹線が通過する。この地域の未来は明るいなぁ～と思った。(賢)







詳細
○ 開催日時 2009年7月09日(木曜日)　午前 9時30分～11時まで
○ 開催場所 川崎市中原区上丸子、新幹線ガード下河川敷き
○ 参 加 数 上丸子小学校四年生　84名 ／ 父母　5名
○ 開 催 名 上丸子小四年・総合学習「＃03ガサガサ探検隊」
○ 主　　催 川崎市立上丸子小学校
○ 協　　力 川崎河川漁業協同組合／多摩川クラブ
○ 後　　　援 国土交通省京浜河川事務所／川崎市教育委員会
多摩川クラブ






　 　　

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