西日本を中心に、記録的な豪雨が続いている。多摩川流域でも７月に入り、日照時間が８時間を越えた「晴れ日」は１４・１５日のたった２日間だけでであり、相変わらず曇りと雨の毎日が続いている。
　遡上数が１３０万匹を越えた今年の「多摩川天然遡上アユ」も、夏本番を前に中流域を中心にすでに生活安定期に入っているが、この度重なる雨による水位上昇と「川濁り」にて、その後の発育が心配される処でもある。

　小雨のパラつく２４日、増水気味の河口２４キロ地点にてアユの成育観察を行った。早瀬脇の淀みを中心に、投網を計６投した結果採取した魚種は次の通りとなった。

○ 天    気　　　  曇り　/ 小雨　   水温27℃   
○ 使用投網      目合い　　十八節　/　八百目

　結果的には、広範囲に渡りかなりの密度でアユが生息していることが解った。体格も豊作年だった5年前に等しく、やや小振りの12〜14�p大が中心。産卵期や成長期における豊水は、川魚にとっては不可欠な自然現象なのかも知れない。

　6月上旬の梅雨前は、川底の石が高密度のアユたちに舐められ、苔むす間もなく黒光りする状態だった。従い苔のはめない若アユたちは群れて泳ぎ、水面を流下するユスリカなどの川虫を捕食する姿で溢れた。日照時間の足りない現在でもその傾向は続いている。今後の気象と、アユの成長の関わりを、秋の産卵期まで観察を続けたいと思う。(賢)