秦野市を流れる清流「四十八瀬川」で、地元小学生約1００名と魚捕りを楽しんだ。参加した小学生は、川の近くにある秦野市立「堀川小学校」の4年生3学級の児童たち。

森に囲まれた清流は驚くほど美しい。秦野市は背後を丹沢山塊に囲まれる盆地。丹沢から染み出す湧水は、「名水」として名高い。
　しかし、この川で遊んだ経験のない子がほとんど。勿論この小川にどんな生き物が居るかも知らない。

　ふる里の小川で、初めての「川あそび」。梅雨の合間に現れた青空の下、たくさんの生き物たちと初対面を果たした。

　四十八瀬川は小田原を流れる「酒匂川」の支流に当たる。秦野市付近では名前の由来通りに早瀬を駆け落ちる川が多い。
　上流部でも水は切れずに流れるが、砂防堰堤により川が細かく寸断されており、流れる清流と裏腹に魚類相は極めて薄い。

　今回、子供たちのアイドルとなった「カジカ」だが、先月6月に神奈川地域限定の希少種として、絶滅危惧種�U類に指定されている。
　ゴロタ石の下で、初めてタモを持った子でも比較的簡単に捕まえられた。他では居ない希少な生き物が、全部で２０匹以上確認できたのは、人と川の関わり薄き土地柄において、唯一の救いとなった。

　魚とりに夢中の子ども達を、夏の小川は変わりもなく受け入れている。水しぶきを上げて走り回る子どもに、昔も今もない。
　あの愛くるしい魚、「カジカ」が県のレッドリストに記載された。かつて、夏休みの遊び相手として、これほどポピラーだった魚も居ない。思い出す人は多いのではないだろうか・・・。

　四十八瀬では当たり前でも、他では中々出会えない魚となった。「居そうな場所でも・・・今は居ない。」「たくさん居たのに・・・今は居ない。」町横の小川から消えたのは、魚と子供たちの笑い声なのかも知れない。

　四十八瀬川には、少年たちのかつての遊び相手がまだたくさん残ってい.る。今となっては他には居ない「生き物」たちなのだから、きっと自慢できるふる里なのだと思う。
　しかし、知らない。隣人が知らない・・・臭くなれば蓋をされ、事故が起きれば柵が掛けられる・・・絶滅を心配するべきは、カジカでは無いのかも知れない。

素晴らしい小川だった。魚たちは清純でありイキイキとしていた。出会いが子供たちの心に残ることを願いたい。君たちのふる里の小川は、間違いなく神奈川一だと思う・・・。(賢)