河口から約26ｋｍ地点に、川を横断する形で流れを堰き止める「二ヶ領・上河原堰堤」。川崎市内を流れる二ヶ領用水の頭首口だ。かつては此処から取水した水が、市内の田畑を潤した。　現在でも一部の農業・工業用水として利用されているが、主に親水用の水路として公園などに利用されている。昔のような生命線的役割は無くしたものの、いまだ愛される「親水水路」である。

　堰堤の工事は年が明けてから始まっている。堰の掛かる位置が、河川幅が急激に狭くなる箇所であり治水上の問題点が以前から指摘されていた。
　今回の改修工事では、ダムサイト面を構成するコンクリート長を調整する工事で、両岸に延長されていたコンクリート塊を切断している。構造上の大改革を行うようだ。

　ダムサイトの両端にある魚道の外側は、コンクリート塊の切断のために、15メートルほど掘り下げてあり、湧き出る「湧水」はポンプによって汲み上げられて放水している。

　水温13℃、恐ろしく澄んだ水が小さな「らしからぬ景色」を生んだ。囲われた柵の中に現れた小さな楽園・・・。願わくば、止めずにいつまでも残したい小さな「和み」の風情でもある。(賢)