秋雨が長引く10月8日、厚い雲が覆った横浜「大岡川」でレッドリストに載る絶滅危惧種“メダカ”が、市立・大岡小学校四年一組の児童らが捕まえた。 メダカが見つかったのは、河口から約５キロ遡った住宅地の中を流れる大岡川。小学校の直ぐ前を流れる場所だ。子供たちは、こまでにも総合学習として大岡川には入っていたが、メダカの発見は今回が初めて。

　大岡川は横浜のほぼ中心地を流れ、かつて20002年9月にアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」の出現に沸いた川。 河口にはランドマークタワーの建つ“みなとみらい地区”が広がり、川筋にも名だたる繁華街も続いている。堤は背の高いコンクリートで覆われ、その内側を濁った水と川面に浮かぶゴミが流れ落る、なかなか希少な魚が暮らす環境とは言いがたい環境だ。
　今回、メダカを初めて見る子供も多く、学校のそばで出会った希少な魚に、今後の学習に弾みがつきそうだ。

 横浜は、賑わいが偏る街だ。そもそも港町なのだから当然だろう。造成された海際には真新しい建物が並び、観光地は物欲しげにまちを見おろしている。そこに生活は見えても、「暮らし」を感じることはない。

 海岸線を離れて水つながりに川筋に入る。少し進むだけで様子はずい分と変化する。野毛や日の出町と言った繁華街を過ぎながら桜並木をくぐると、いつの間にか古い住宅街に飲み込まれる。川を横断した商店街の橋にアーケードが付いていたりする。

 横浜の川はおもしろい。乾いた街並みを過ぎてみて、初めて水辺の潤いを感じた。「街」は人々の暮らしの日々が作ることを、つくづく知らされる。少々地味だが、本当の横浜はきっとこっちなのだろう・・・。

　 「ハマ」のメダカが三匹捕れた。ちょっとスリムでスマートなメダカだった。・・・もしかすると、魚も“本当”を知っているのかもしれない。(賢)