第 158号　 多摩川クラブ・トピックス　 2008/09/22  16:25発表




多摩川の「イナゴ」食べてみたら旨かったッ！


　食料の安全が問われる時代になった。冷凍餃子から汚染米、今日のニュースでは中国産ミルクに薬物混入、販売会社の自主回収が始まったと伝えていた。複雑な流通経路や利益に眩んだ目が、もっとも安全と思われていた食品にボロを生み出している。

　さしずめ、誰も食料を想像しない場所「多摩川」。鼻っから安全は疑問視されている場所だ。ここの汚染源は、化学薬品ではなくておおむね「下水」。富栄養化した川の水は、河原のヤブをも見事に育ててくれる。

　秋分まじかの河原っ原で、大量に飛び回る多摩川産「イナゴ」。人目をはばかりながら、コツソリ食べてみた。



狛江の富栄養化の河原。秋分まじか、草原を歩くとピョンピョンとバツタが飛んでよぎる。まさしく実りの秋だ。ひとまず50匹捕まえた。バッタは「コバネイナゴ」。



イナゴの佃煮に挑戦ッ！
イナゴの佃煮
　熱湯に通して、ザルにあけゴミなどを取り除きます。水気をよく切って鍋に入れて乾煎り。水分を飛ばします。頃合を見計り味付け、砂糖としょう油、臭み抜きに酒も少々入れ、弱火で煮詰めます。
　水分が少なくなったら、さらに弱火にして最後に味醂少々を加えます。焦げ付かないようにしてよく炒って出来上がり。
　イナゴは、昔から農村地帯の貴重なタンパク源として食用に使われていました。農薬を散布し始めるずーと昔の話ですよねぇ・・・？味は、乾いた小えびや沢がにに似て美味だそうです。成分としてはタンパク質が多く含まれ、鉄分、ビタミンＡに富むが、以外にカルシウムは少ない。
　昭和３０年代頃までは学校の行事としてイナゴ取りがあり、佃煮にして出荷したそうです。売ったお金は、学校の資材などを買い揃える資金。なるほど、穏やかな時代でした。現在は、そうゆう風習も消えてイナゴの佃煮はデパートの高級食材になっています・・・トホホ。
用意する材料
1 コバネイナゴ 約50匹／約50ｇ
2 ミリン 適量
3 酒 お任せ
4 醤油 10㏄
5 サラダ油 適量
6 砂糖 20ｇ
7 七味唐辛子 少々



レッツ・トライッ！！！
その①「下湯で」
①
※ひとまず、捕ったイナゴをその場で料理することにする。本当は、袋に入れて二～三日軒下にぶら下げて置くそうだが・・・んー、待てない。
　糞を出すためらしいが、気にならなければ、そのままでもオーケーとのことでした。

※まずは「下湯で」。お湯を沸かします。
②
※お湯が沸いたら、イナゴを入れる・・・これが厄介。ちょっと「可愛そう」なんてホトケ心を出すと、そこいら中に逃げ出して大騒ぎ・・・。ちゃんと食べるからな南無～。

※本来は、綿袋に入れて干し、そのまま茹でるのが正しいそうです。
初心者の反応(1)
　「本当にたべれるのぉ・・・」おおむね半信半疑・・・。お湯に浮かんだバッタの「死骸」に、数歩さがる。
③
※ササーッと茹でて火を止める。
④
※茹でたイナゴをザルにあける。

※ゴミを取り除き、下茹で完了ッ！
初心者の反応(2)
　・・・茹で上がっても、まだ食べ物の感じがしていない。今のところ・・・赤くなった「バッタ」。



その②「食感作り」
⑤
※イナゴは、食感が「命」。歯ごたえのないイナゴは、形がそのまんまだけに、生々し過ぎていただけない。

※そこで、茹でた鍋に油を入れ、下茹でが済んだイナゴを炒る。
初心者の反応(3)
　やおら、炒めた油の臭い・・・。香ばしい香りに離れかけた足だが、恐る恐るに再び鍋を覗く。



その③「味付け」
⑥
※水気が飛んだら、ドドッと醤油を入れる。
⑦
※砂糖もドドッと入れる。
⑧
※あとは、弱火でコトコト約１時間。ふあ～っと甘いだし汁の香りに、ツウは思わずヨダレ・・・。
初心者の反応(4)
　強烈そそる香ばしさに、鍋を覗き込むほど近づく・・・しかし、改めてバッタであることを確認、顔をしかめる。
⑨
※水分が少なくなったら、さらに弱火にしてミリンを少々加える。
初心者の反応(5)
　だんだんと形に慣れ始める・・・食べれそうな気がしてくる。



エビだかバッタだか分からない。とに角、美味しそうッ！



虫嫌いの調理人「さちまる。」。怯えながらの箸さばき。



ホレッ！出来上がり。時間を置くと黒くなる。・・・でも、基本的にはバッタのままに変わりない。




⑩「出来上がり」
仕上げに七味唐辛子をサラサラっと振って完成ッ！試食は完売、あっという間に50匹の佃煮イナゴが無くなった・・・。「ねぇねぇねぇーッ、イナゴもっと捕ろーッ！！」・・・とは、初心者の最後の反応でした。
　



調理人「さちまる。」ちゃん
　売り出し中のお笑い芸人「さちまる。」。遊びに来たついでに、バッタ捕りさせられて・・・佃煮作らされた。料理のセンスは抜群ッ！お嫁さんみたいな「お婿さん」募集中だそうです。
　さちまる。ちゃんのHP「一日一歩」を覗いて応援宜しくでスッ！


(資料)-①「多摩川バッタ図鑑」を見る

(資料)-②多摩川「バッタバツタとバツタ捕り」を見る



　出来上がってみれば素晴らしい「イナゴの佃煮」。多摩川産イナゴと知らなければデパートでも売れそうな美味。少なくても、今話題の中国産イナゴには勝てるかも知れない。

　なによりその味。カリカリの触感と佃煮の甘辛さがよく似合って最高なのだ。ためしに山椒なんざ振った日にゃ、思わずビルの屋上に駆け上って故郷に向かい「バカウマ～ッ」と叫んでいるかも知れない・・・。それほど感無量の味だった。

　秋分まであと僅か・・・。多摩川の河原で、誰も知らない・・・いや誰も関心を持っていない「旬の味」、確めてみてはいかが？ (賢)





詳細

○ 体験日時 2008年9月17日(水曜日)　午前 13時30分～15時30分まで
○ 体験場所 東京都狛江市・狛江水辺の楽校「クルミ村」にて
○ 体験名 「2008’イナゴ食べても、いーなごじゃないかッ！」
○ 参　　加 調味料の魔術師「さちまる。」他1名
○ 協　　力 狛江水辺の楽校・竹本氏・・・他

多摩川クラブ