17日の日曜日、狛江市立・第六小学校の父母会「おやじの会」の要請で、投網教室を開催した。場所は同小学校の校庭、14名のおやじが参加した。学区内に多摩川のある六小は、多摩川活動の最も盛んな狛江市にあっても抜ん出て盛んな小学校。低学年の「生活」から、中・高学年の「総合」まで、全ての学年で取り組みを持つ。

　おやじの会では、学習支援として昨年暮れからアユの「生け簀」作りを開始。このほど完成しいよいよ飼育する種アユ待ちとなり、急きょ投網教室の開催となった。

　投網を手にしたおやじ達は、どの顔も半信半疑。「エ〜、シロウトでも本当に開くの？」まぁ、そこいら辺は正直なところだろう・・・。その疑い深い手に網を持たせ、まずは網の収め方から指導を開始。いたって従順、指示通りに網が納まった。

「力まずに、回天させるように前に振り出して見て下さいネッ」

　言われたままに放り出してみると・・・アラ不思議、スパッと大輪が空を舞う。「おーッ、凄げ〜ッ！」めでたく疑いは晴れて、次々と大輪が開く。何てことはない。投網は仕組みが超簡単。理屈から入らなければ、誰でも簡単に開くようになるのだ。

　「河原でバーベキューするときには、必需品になるなぁ、コレ・・・。」

　ん？食べちゃうのォ〜・・・すっかり本来の目的を忘れる楽しい講習となった。支援活動とは言え、オモシロイ方がいいに決まっている。

　「六小おやじの会」の新しい活動目的が、またひとつ大空にシュパッと大きく「まる」を描いた。

　多摩川流域に暮らすほとんどの家族が、他に故郷を持つ転入組み。家庭が増え、たまたま引っ越してみたら多摩川べり・・・ってなコトも多い。かくゆう僕もその１人だ。そんな転入家族にとって、地域と繋がるキッカケは割りと少ない。おまけに、仕事場は「都心」でバカンスは「海外」なんてコトになると、さらにキッカケは少なくなる。

　それでも若い夫婦ならば、子育てで地域との関わりが生まれることもある。妻子が子供を通じて地域に馴染む姿は、天蓋孤独の「おやじ」にとっては安堵する光景かも知れない。・・・あまり意識されないが、地域社会にとって、公立小学校の果たす役割は実に大きいのだ。

　とりわけ、「おやじ」にとって地元との関わり作りはけっこう難しい。「まぁいいさ、いずれ定年後からゆっくりと・・・」なぁ〜んてのはすでに手遅れ、肩書き抜きの付き合いは長い歳月が必要だ。

　多摩川流域で盛んな「おやじの会」の活動。とりわけ、地元との関わりの薄いおやじたちのとって地域デビューの良いチャンスだ。見ず知らずが集い、共通する子育てで関わりが生まれると、やおら地域意識が芽生えたもする・・・。でも、ただの奉仕じゃつまらない。女性と違い、悪ノリできる楽しさがソコに生まれるとさらに長続きする。

　六小おやじの会は、そこんとこが実にウマイ。去年覗いた時には、レースに参加するための「いかだ作り」で、ウハウハ盛り上がっていた。今回も、問い合わせも無いまま、いつの間にか「完璧」な生け簀が出来上がっている。
　このご時世、ヒマな三十・四十代など居ない。それなのに、この「ノリ」の良さは何だろう・・・。活動の内容を「立派過ぎず、下らな過ぎず」、ちょうど良く保つのは、簡単そうで案外難しい。

　六小の多摩川学習でこだわる「多摩川アユ」。生け簀で、天然アユを飼育して産卵までさせて、オマケに受精卵から孵化と仔魚の放流会・・・。すでに、この「アンポンタンおやじ」抜きでは学習が成立しない。それが、水産試験場でも大学でも手の出せない「おやじのアソビ」であることを自負できれば、これほど楽しい気分もない・・・。

　豊かさが、金で買える時代はすでに終わった。地域と学校の架け橋・・・多摩川の担う役割は大きい。(賢)