梅雨の明けた18日、上丸子小四年の総合学習「上丸子ガサガサ探検隊」が、中原区にある新幹線ガード下の多摩川で行なった。先月に予定されていた実習だったが雨で延期、子供たちは満を持しての開催となった。

　川の状況はすこぶる調子が良い。腰まで浸かる深さでもゆうに川底が見えている。これまでに無い透明度だ。頭の上を飛ぶように過ぎる新幹線や、土手の向こうに広がる高層マンションが不似合いなほど美しい。

　感潮域の下流だけに川底は砂で、潮の干いている時間帯なら川の中ほどまで歩いて入れる。暇つぶしに、子供たちと新幹線が通るたびに手を振って遊んだ。平日の午前中、窓外を眺める余裕のあるサラリーマンは居ないかも知れないが、もし見ていたら腰を抜かすほど驚くに違いない。何年やっても、上丸子小のガサガサは毎回新鮮なのだ。

　上丸子小は、文部科学省が推奨する「コミュニティースクール」だ。地域が、地元小学校を評価する仕組みを持つ学校のことで、地域や父母の活動も活発に行われている。多摩川学習を開始した頃は父母の参加はほとんど無く、課題として学校側と策を捻ったが、コミュニティー化してからは、平均でも10名以上の父母の参加があるようになった。

　しかし親世代にとって、子供たちが「・・・あの多摩川？」に入り、泳いだり魚を捕まえたりする姿は、新幹線の中からではなく相当に驚いているに違いない。年の頃なら40歳前後。多摩川が最も汚れた時代に少年・少女期を過ごした世代でもある。学習を開始した当初、子供を川に入れるのを反対する親が続出したのも]無理はない。

　見ようと思わないと見えにくいモノがある。多摩川の再生は、足元で芽生える多くの地域未来を伝えているのかも知れない。(賢)