第410号　多摩川クラブ トピックス　2020/10/22  22:00発表



杉森小の＃02 河川敷探検隊ッ！


「ケンさ～んッ、見て！」網の中には、立派なアブラハヤ4匹。凄いッ大漁だ！多摩川っ子には、勉強よりも大切な瞬間がある。そうッ、きみは一人前だ。



　待ちに待ったガサガサ探検。台風と増水で、これまで二回中止になっている。雨の予報が曇りに変わった。担任の木村先生から興奮の電話。

　「けんさん。今日、ガサガサ出来ますよね？」

　このままじゃ、子供たちが収まらない。先生方もかなり焦っているようだ。子供たちとは、三回中止になったら延長なしとの約束で、今日がラストチャンス。すがる気持ち伝わる電話だった。

　水温18℃。川はすっかり秋めいている。出会えたのは、今年生まれの若魚たちだ。網に入れば得意げに見せに来る。どの子も楽しそう。こちらまで元気になる。あぁ、やれて良かった。

　たった30分のガサガサだったが、参加の誰もが幸せを感じる探検隊となりましタッ！




＃02 「杉森小の河川敷探検」 進行の詳細

09:15 現地集合
・調布染地公園。
・観察のポイント説明。

09:30 観察開始
・植物、昆虫、野鳥に川原石。
・グループに分かれて活動開始。

02:15 高水敷の観察
・生き物の採捕。
・秋の生き物の解説。

10:30 観察終了
・染地公園へ集合。


まとめ


10:45 帰校



グループに分かれて観察会。ガサガサのグループは43名。一番人気だ。場所は、本流を避けて岸寄りの小川を選択。とても水は冷たくて美しかったネ！





出会った水棲動物

天候 曇り/水温 18.5℃/水量 やや多い。濁り無し。
魚種(大きさ) 数 魚種(大きさ) 数
01  ｷﾞﾝﾌﾞﾅ (6～8ｃｍ) 8 08  ﾓｸｽﾞｶﾞﾆ (2ｃｍ) 3
02  ｵｲｶﾜ (1.5～4ｃｍ) 50～ 09  ｼﾏﾄﾞｼﾞｮｳ　 (7ｃｍ) 3
03  ｱﾌﾞﾗﾊﾔ  (6～9ｃｍ) 18 10  ｽｼﾞｴﾋﾞ (4.5～4ｃｍ) 9
04  ﾀﾓﾛｺ  (2～4ｃｍ) 8 11  ヌカエビ  (2～3ｃｍ) 20～
05  ｽﾐｳｷｺﾞﾘ (5～8ｃｍ) 10 12  ｺｵﾆﾔﾝﾏ ﾔｺﾞ (3.5ｃｍ) 1
06  ﾇﾏﾁﾁﾌﾞ  (7.5ｃｍ) 1 13  ｵﾅｶﾞｻﾅｴ ﾔｺﾞ (3ｃｍ) 2
07  ｶﾏﾂｶ (3～5ｃｍ) 6 14  ｻﾅｴﾄﾝﾎﾞ類 ﾔｺﾞ (1～2㎝) 3
計14種　　約144～匹



再生する「トンボ」

近年、見事に復活している「オナガサナエ」。キミは、故郷の「小さな未来」だ。







始まる未来

　ガサガサをした場所は、岸寄りに流れる小川。魚道を落ちた水が流れている。水の勢いは弱く川底は砂と泥。少し前なら悪臭が漂うヘドロ溜まり場になる環境だったかも知れない。そんな場所で、子供たちと魚獲りをした。

　網を構えて、茂みの中をガサガサ。

　匂いも濁りもない流れの中から、可愛いらしい小魚が現れた。得意げに見せびらかす子供が可愛い。・・・いやはや、凄い時代になったモノですなぁ。

　誰も気にしないが、東京都の流域下水道部が誕生して、今年で50年になる。あの美濃部都知事が、水環境の再生を目指し創設した部局で、当時多摩川の下水道普及率は、たったの5％ほど。大半が生下水を多摩川に捨てていた。当然、川は汚れる。
　それから約30年後の平成10年(1998)。驚くことに、この新しい部局はたったの30年で、概ね都市部100％の普及率を達成。初期の劇的な水質改善は、この恐ろしいほどの急速な普及率向上がもたらした。

　でも、それ以降はあまり話題にされないが、多摩川の浄化は毎年進んでいる。処理施設の高度処理化が、現在のさらなる浄化を進めている。

　処理施設の「高度処理化」。

　2000年頃から本格的に始まり、現在流域処理施設の6割がこの高度処理可能な施設に生まれ変わっている。それにより、それまで取り除くことができなかった汚染源の栄養塩(主にチッソ)が、劇的に減少。
　それ以前の水は澄んでも肥料のように肥えた水とは違い、本来の川の水により近くなりつつある。

　これにより、川環境が新たに一変。変わったのは「川底」。高度処理された「痩せた水」は、川底を肥やさない。おかげで、フカフカの柔らかい川底に生まれ変っている。
　違いは、生き物たちが伝えている。新たな低層生物の復活や、川底に卵を生むアユなどの回遊魚類の飛躍的な復活だ。これまでには無かった再生は、新しい川底が支えている・・・これは、まぎれも無い私の実感だ。

　川環境を支配するのは、「水質」ではなく「底質」。水は移動するが、川底は固定される環境だ。最初に悪くなり最後まで再生しない基礎環境が、劇的に良くなり始めている。

　魚が住める川から、再利用可能な水源へ・・・そんな夢溢れる川の未来を、地元の子供が掬い取って楽しんでいる・・・感無量。素晴らしい出会いに乾杯ッ！。(賢)





詳細

○開 催 名 調布・杉森小学校四年 合同総合学習
「多摩川・ガサガサ探検隊」
○日　　時 10月22日、午前9時30分～10時30分
○場　　所 調布市 染地の河川敷
○参　　加 児童42名ク　父母6名
○協　 　力 (株) セルコ 各セクションの指導4名参加
○指　　導 　多摩川塾 中本賢


多摩川クラブ