第434号　多摩川クラブ トピックス　2025/06/23 15:01発表



野川小の「矢上川改造計画」はコレだッ！

矢上川ガサガサ探検隊
 「え？君たち何してんの？」道行く人が異様な景色に足を止めている。エヘヘ・・・どうぞお構いなく。だって面白いんだもんッ！



　川崎市麻生区を流れる「矢上川」は、コンクリートの川。人を寄せ付けない高いフェンスと、投げ込まれたゴミ。人の暮らしと川が遠くに離れているのが良く分かる。
　多くの人が忘れているが、ここは遺跡が多く残る「谷戸(やと)」の街だ。かつて、豊かな湧水を求めた多くの古代人が集った。今でも中に入れば、流れる水は驚くほど冷たく美しい。

　19日金曜日。鼻息荒い野川小学校五年生136人とガサガサをした。人目を気にせずひたすら遊ぶと気付くことがある・・・

そう、矢上川は世界一オモシロイッ！





まずは、担任先生と下見

　先生たちも矢上川に入るのは初めて。まずは見上げた空の広さに驚く。さらにガサガサにも挑戦。獲れれば子供も大人も関係なしの大興奮だ。この楽しさ、必ず子供にも伝わると共々に確信。ヨシ、いざ本番ッ！。




野川小五年 「ガサガサ探検」 進行の詳細

#01「1・2組69名ｶﾞｻｶﾞｻ」

08:45 学校出発
　・現地受け入れ準備

08:50 到着、始まりの会
　・注意事項、講師の紹介

09:55 ガサガサ探検
　・川の中を歩いてみよう！
　・魚をとってみよう！

09:55 探検終了
　　・まとめ

10:00 帰校

 

#02「3・４組67名ｶﾞｻｶﾞｻ」

10:20 学校出発
　・現地受け入れ準備

10:25 到着、始まりの会
　・注意事項、講師の紹介

10:30 ガサガサ探検
　・川の中を歩いてみよう！
　・魚をとってみよう！

11:00 探検終了
　　・まとめ

11:05 帰校




ガサガサとガラガラ

　タモ網で魚を狙う方法は二つある。魚が隠れていそうな二種類の障害物で獲る方法だ。
　一つは水際の植物帯でガサガサ。もう一つが、川底の浮石の下に潜む魚を狙うガラガラ。両方とも障害物の下流側に網を構え、上流側から足で脅かしながら網へと追い込む。

　ひと通り教えて子供たちに川に放つと、すぐにアチコチで歓声が上がり始めた。これまで入るキッカケも理由も無かった子供達。初めて見る矢上川の生き物に大興奮となった。



 



　コツを掴むと、子供たちは協力し合いながら魚獲りを開始。フムフム、君たちはとても優秀だ。網に入る「ヌマチチブ」や「ウキゴリ」は海から。唯一上流から流れ落ちて来たか？「ヒメサナエ」のヤゴも入った。
　そして、フェンス越えの投下物「携帯」。この収穫物、もはや矢上川の定番になりつつある？。





出会った水生生物

天候 晴れ/ 水量 少ない / 濁り 無し / 水温23.0℃

魚種(大きさ)

数

魚種(大きさ)

数

01

 　ｵｲｶﾜ　 (5～13ｃｍ) 2 04 　ﾋﾒｻﾅｴ・ﾔｺﾞ (3.5ｃｍ) 29

02

 　ﾇﾏﾁﾁﾌﾞ (6～9ｃｍ) 65 05 　ﾓｸｽﾞｶﾞﾆ (2～18ｃｍ)

11

03

 　ｽﾐｳｷｺﾞﾘ  (6～7ｃｍ) 18 06 　ｶﾞｶﾞﾝﾎﾞ (4ｃｍ) 1

計6種  約129匹


　海までの距離は、約14㎞と意外に近い。したがって、ほとんどが海からの来た生き物だった。人との繋がりは絶えても、海との繋がりは今も続いていることが分かった。




矢上川改造計画

　山には「岩の山」と「土の山」がある。岩の山は勾配の強い渓谷を作り、土の山は湧水と肥沃な土砂が溜まり谷戸を生む。矢上川流域に縄文遺跡が多いのは、この土の丘「多摩丘陵」の豊かさの象徴と言える。



     
昔の谷戸の暮らし    今の谷戸の暮らし



　現在では、谷戸の特徴は利用されず新しい町並みが広がっている。川崎にある多摩丘陵の都市化は、東急や小田急と言った私鉄沿線の開発で始まった。いずれも東京中心地から郊外へと放射線状に伸びる路線で、川崎にゆかりの無い文化圏がそれぞれに誕生している。

　新しい街では、湧水利用は蛇口から出る水道水へと変わり、氾濫を繰り返す矢上川は掘り下げられて直線化。その後も改修を重ねて現在の形に至っている。

　昔が良かったとは少しも思わない。でも、土地の長所が活かされないのは勿体ない気がする。 野川小学校の矢上川改造計画は、手探りにまずは「遊んでみる」を合言葉で始まった。



川崎の希望

　今日のガサガサも大成功だ。どれも担任先生の盛り上がりが導いた。それに、びっくりするほど素直な子供たち。「次はいつ行くのッ？」の連呼に先生も困り果ている。
　・・・よしよし、狙い通りだ。明日から橋を渡るたびに矢上川を覗く「変な子たち」が誕生しているに違いない。

　価値のなかった場所の新しい価値。

　そう遠くない未来。きっと変わる。きっとそうなると信じている。なぁ～みんなッ！矢上川の魚たちのコト頼んだぞッ！(賢)



 
 楽しかった。また会おうね！








詳細

○学 習 名  五年総合・「矢上川改造計画・ガサガサ」
○開催日 2025年6月19日、午前9時00分～11時55分
○場　所 川崎市麻生区・矢上川
○参加者 児童・4学級 136名
○協　力 「川崎市寺子屋会議」中沢・早乙女さん 2名
   
○指　導 多摩川塾・中本賢

 


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