僕の住んでる家の前には、大きな川が流れている。流域人口４２７万人、東京と神奈川の間を流れる首都圏の川、多摩川だ。
　どちらかと言うと、平野をゆるやかに流れる川と言うよりも、人と人のすき間で壁にぶつかりながら落ちて行く・・・といったイメージの方が正しい。
　最近はずいぶんきれいになってきたけど、まだまだ洗剤の泡も、川の中のゴミも相変わらずのままだ。　この川の生き物に関心を持つようになったのは、もう１０年以上前のこと。まだ子どもが小さかった頃、暇つぶしに河原に出たのが始まりだった。

　最初の頃は、やることがなくてすぐ飽きて１０分もいられなかったのに、子どもが川遊びに夢中になっていくにつれて、いつの間にかのっぴきならない川にまでなった。
　「なぜ多摩川なんですか？」いろんな人によく聞かれる。自分でも何故だか分からない時がある。それは多分、家の前を流れている・・・からなんだ思う。

　好きな川が目の前にあると、すぐ川に行ける。家から長グツ履いて、タモをかついでいつでも行ける。近いから四季にまみれて一年中、川にいる。
　これだけ来てるのに、同じ川だったことが一度もなかったのが不思議だ。
　自然とは言いがたい「川」だけど、水の中にはたくさんの生き物たちがいる。誰からも心配されることなく、誰に保護されることもなく、小さな命が一生懸命に生きている。・・・それが、いとおしい。
　今のところ、この川が１番好きで、いとおしい川だと思っている。そういう風に思えるのも、きっとそんな魚たちとの出会いがあったからだと思っている。

桜のつぼみも膨らんだ3月下旬──。

　川の中では、今年もコイが産卵に群れ始めた。出来る事なら、あの子たちと一緒に、いつまでもこの川の未来を見ていたいと願っている。

　川のほとりで暮らすようになって１７年。川のそばに住みたかったからじゃなくて、引っ越したら、たまたま前を流れていた・・というのが正直なとこだ。

　最初は川のことなんか何も知らなかった。遊び盛りの息子に、腕を引っ張られるようにして川へ出るようになった。でも何をしたらいいのか分からない。だから３０分と居られない。すぐ飽きちゃう。

　川が面白くなったのは、やっぱり生き物と出会うようになってからだ・・。まだまだ汚いイメージが残る多摩川だったけど、一生懸命生きている小さな生き物たちの姿は、どんな清流の生き物たちより素敵だった。

　子どもはやっぱりすごいよね。次から次へと新しい発見をする。川が汚いとか綺麗とかじゃなくて、とても公平なんだ。だから、特別な魚じゃなくても、雑魚でもザリガニ相手で同じように楽しく遊べている。僕に川の遊び方を教えてくれたのは、きっと息子だったんだろう・・・と思っている。

　野生は、遠くの山河だけにいるんじゃなくて。真横の川にだって、立派に暮らす小さな野生はきっといる。タモ網とバケツを持って、お父―さんや学校の先生の腕を引っ張り、そんな生き物たちを探しに行こう。きっと誰も知らない小さな発見とたくさん出会えるハズだよ。

　そして、いつの日か、立派な川探検家になったら、一緒に怪しいガサガサを探しに行きたいネ・・・ウン、期待して待っているヨッ！！

　それじゃ、今度は川で会おう！！バイバイ。

近所の川に出かけよう。／ガサガサの準備。／探検隊の道具。／さあ。さかなをつかまえよう。／怪しい場所の見つけ方。／いよいよガサガサだぁ。／ゴロゴロのガサ入れにも挑戦だ。／さかなを釣ろう。／イト電話釣法で、ミャク釣りを覚えよう。／食パンでデッカイ鯉を釣ってみよう。〔ほか〕