このたび、三回目の生態回復調査を十一月三日に行った。今回の調査では、水産学博士である鳥羽光晴先生にご同行をお願いし、二枚貝を中心に、現在の「かわさきの浜」の状況を、他の地域と比べながら分析して頂いた。
　以下は、実施した生態調査の結果と、鳥羽博士による「かわさきの浜」環境、及び採取した内容から見た水産資源価値としての分析です。

　水交換にもよるが、海水は常に動いており、この場所の印象では多すぎて競合することはまず無いだろう。

　「かわさきの浜」は、他の海浜公園に比べ面積も少なく、採取規制をかけなかった場合、短い期間で獲り尽くされる可能性が高い。来場が集中する、来春の連休「潮干狩りシーズン」前に、採取規制をもうけ、早めに看板等で告知をすることを提案いたします。
　規制を設けた後には開放する期間を設け、イベントとしての潮干狩りを楽しむ日を設定しながら、生態再生が起きた「川崎の海」を市民へ広くアピールする。

　また平素の利用として、近隣地区の教育機関などの「環境教育」の場として利用。また対比学習として、同じ川崎区にある天然の河口干潟との「人工」「天然」を対比させた、川崎ならではの環境学習を展開する。

　京浜間には人工砂浜を持つ海浜公園として、東京「お台場」地区、大田区大森にある「ふるさとの浜辺公園」、横浜「海の公園」などがある。しかし、いずれも環境学習を行うなどの文化的な利用はなく、埋め立て事業の代替地公園としての価値に留まっている。

　「かわさきの浜」では、すでに川崎区にある川崎市立東大島小学校の五年生が学習として取り組んでいるが、マスコミを通じた市民の反応も良い。いずれの場合も、市のPR事業として片寄らず、川崎市の環境再生を確認する「文化的活用」が望ましい。

　早急な採取規制の作成が必要と思われます。そして来年の五月連休には、開園一周年事業として早々にイベント化を目指しながら、期を逃す事のない展開を願うものである。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　多摩川クラブ　　 中本　賢